3歳のプードルちゃん、歯石は少なくても…麻酔下の歯科処置で分かったこと
2026.10.30
こんにちは。今回は、「歯石取り(歯科清掃)をお願いしたい」とご来院された3歳のプードルちゃんの症例をもとに、犬の歯周病についてお話しします。
「まだ若いし、歯石もそんなに付いていないから大丈夫かな?」——そう思われている飼い主様にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
処置前のお口の様子


外から見ると、歯石は奥歯に少し付いている程度で、3歳としては比較的きれいなお口です。
ところが歯ぐきに注目すると、どの歯も歯ぐきのふちが赤く腫れています。これは歯肉炎のサインです。歯石の量が少なくても、歯と歯ぐきの境目ではすでに炎症が始まっていました。
麻酔下でのレントゲン検査



全身麻酔をかけたうえで、歯科用のレントゲン撮影を行いました。
歯周病が進むと、歯を支えている骨(歯槽骨)が少しずつ溶けて下がっていきます。今回のレントゲンでは、多くの歯で明らかな歯槽骨の後退は見られず、まずはひと安心でした。
それでも見つかった「グラつく歯」
レントゲンで全体を確認したあと、器具を使って1本ずつ歯ぐきの中(歯周ポケット)の深さや、歯のグラつきをチェックしていきます。
すると、右上のいちばん奥にある小さな奥歯(歯式番号110:右上顎第2後臼歯)が、すでにグラグラしていることが分かりました。
全体としては軽度でも、1本ずつ見ていくと進行している歯が隠れていることがあります。グラついた歯を残しておくと、痛みや炎症が続き、周りの歯や骨にも影響してしまいます。処置中に飼い主様とご相談し、この歯は抜歯することになりました。
清掃後のお口


歯の表面だけでなく、歯ぐきの中に入り込んだ汚れまで取り除き、最後に歯の表面を研磨してツルツルに仕上げました。歯ぐきの赤みも、これから落ち着いていくことが期待できます。
手術後の経過も良好で食欲も問題ありません。
なぜ「麻酔下」での処置が大切なの?
無麻酔での歯石取りでは、見える部分の歯石を落とすことはできても、
- 歯ぐきの中(歯周ポケット)の汚れの除去
- レントゲンによる歯槽骨のチェック
- 1本ずつのグラつき・ポケットの深さの確認
といった、歯周病の「本当の進み具合」を確かめる処置はできません。今回のグラついた奥歯も、麻酔下でしっかり検査したからこそ見つけられたものです。
まとめ:犬の歯周病は3歳から。早めのチェックを
3歳を超える年齢になると、多くの犬で歯周病の進行が見られます。今回のプードルちゃんのように、歯石が少なく見えても、歯ぐきの炎症やグラつく歯が隠れていることは珍しくありません。
歯周病は、進んでしまった骨の後退を元に戻すことが難しい病気です。だからこそ、
- 早めに麻酔下での歯科清掃を受ける
- そのときにレントゲンと1本ずつの検査で進行具合をチェックする
- ご自宅での歯みがきで、きれいな状態をキープする
この3つがとても大切です。
土浦市・つくば市周辺で「うちの子、そろそろかな?」と思われたら、まずは診察でお口の中を拝見させてください。お気軽にご相談ください。